医師、言語聴覚士、スタッフのコラム
日々の気づきや、きこえの事など、各専門家の目線で難聴との関わり方を綴っています
言語聴覚士とは
2021.01.27
ご存知ですか?
皆さんは「言語聴覚士」という職業をご存知でしょうか?
すでに知っている方もいれば、
初めて聞いたという方もいらっしゃると思います。
名前から察すると
「言語」と「聴覚」を担当しているというのは、漠然とお分かり頂けると思います。
しかし具体的に何をしているか……そこまで知らない方も多いのではないでしょうか?
まだまだ聞き慣れない言語聴覚士という職業――。
そこで今回は
「言語聴覚士」という職業について簡単にお話したいと思います。
STとも呼ばれます
言語聴覚士は俗に言うリハビリテーション職です。
医療機関の中では医療従事者として
・理学療法士(PT)
・作業療法士(OT)
に続く3つ目のリハビリテーションの職種に分類されています。
主に「ことばやきこえのコミュニケーション機能」と「飲み込みの機能」に対して専門的なサービスを提供しています。
そんな言語聴覚士ですが、
時には「ST」とも呼ばれることがあります。
その理由は、
言語聴覚士が「Speech-Language–Hearing Therapist(スピーチ・ランゲージ・ヒアリング セラピスト)」と呼ばれているためです。
この頭文字を取ってSTとも呼ばれています。
担当領域
それでは先程の単語を
一つひとつ訳してみましょう。
・Speech(スピーチ)…話す
・Language(ランゲージ)…言語
・Hearing(ヒアリング)…聴く
・Therapist(セラピスト)…療法士
つまり言語聴覚士とは
話すこと、聴くことなど言語に関するコミュニケーション機能に関する領域を担当している療法士ということになります。
具体的に担当するコミュニケーション機能とは、
子どもの時からみられる聴覚障害(難聴)、言語発達の遅れ、音声障害(吃音、構音障害)や大人になってからの脳卒中などにより生じる失語症や構音障害などが挙げられます。
このようにコミュニケーション機能とは
子どもから成人まで一生涯続く大切な機能です。
ですので言語聴覚士は
医療機関に留まらず、福祉・教育機関でも活躍の場が広がっています。
担当部位
私達は話す時に無意識に考えながら話をします――つまり脳を使います。
そして考えた事柄を言葉に変換して発します――つまり口・喉を使います。
そして他者から発された言葉を聴きます――つまり耳を使います。
そして自分で発した音声を自分の耳で聴き取りながら会話を続けます。
このように私達は脳・口・喉・耳を使って、
話すこと、聴くことの一連行為を連続することで、音声コミュニケーションを実施しています。
この一連の流れを専門用語で
「ことばの鎖(スピーチ・チェーン)」と言います。
日常会話において、
この「ことばの鎖」の存在がとても重要になります。
つまり言語聴覚士とは、
コミュニケーション機能のリハビリテーション職であると同時に、
ことばの鎖に用いる
「脳、口、喉、耳の身体部位」のリハビリテーション職でもあるということになります。
簡単に首から上を
担当していると思って頂ければ幸いです。
参考資料
・一般社団法人言語聴覚士協会 https://www.japanslht.or.jp/